タイトル | 白鯨 |
著者 | メルヴィル |
出版社 | 岩波文庫 |
読了日 | 2016年1月28日 |
日本がまだ江戸時代で鎖国していたころの,アメリカの捕鯨船の物語。太平洋に横たわる,門戸を閉ざした国と日本のことを表現しているところが時代を感じさせる。時代背景としては,蒸気船が出始めたころで,普通の捕鯨船は帆船で,風が吹かないと進むことができない頃だった。風がなく進めないという記述も本文にはある。
18世紀の物語なので,人種差別的な表現も多々出てくる。キリスト教徒が普通で,そのほかの人たちは,異教徒で相容れない人たちとなっている。そんな異教徒も捕鯨船には一緒に乗っていて,自分の技量でキリスト教徒たちよりも活躍したりする。主人公は,そんな異教徒と親友になり航海を進めていく。主人公の視点では,肌の色による偏見が少なく描かれているが,異教徒の行動に戸惑いを見せるところもある。
物語は,船長の宿敵の白鯨を追うストーリーだが,途中でクジラや捕鯨についての蘊蓄が出てきて,これがまた面白い。捕鯨に関する知識やクジラ全般に対する知識がない中でも,情景を思い浮かべることができた。3巻の長編だけれども,一気に読み進めることができる。
白鯨(上) [ ハーマン・メルヴィル ] |
白鯨(中) [ ハーマン・メルヴィル ] |
白鯨(下) [ ハーマン・メルヴィル ] |