Ginazineに面白い記事が載っていました。曰く,なぜなぜ分析は医療の現場では応用しないほうがいいということです。
なぜなぜ分析とは5W分析とも言われ,Why(なぜ)を5回繰り返して問題の本質を探るものです。元々はトヨタが生み出した「カイゼン」の施策だと言われています。ソフトウェアの開発の現場でも色々と使われている手法です。私も,フィールドでバグを出してしまった時などは,この分析を使って再発防止に努めています。
このなぜなぜ分析に異を唱えたのはカリフォルニア大学の先生でAlan Card准教授です。
先生が言うには,なぜなぜ分析は複数ある原因の特定のものに行ってしまうことがあるとのことです。記事で例を出していますので紹介します。
◆問題:
間違った患者に投薬してしまった
なぜ?(1):患者を識別するリストバンドをチェックしていなかった
なぜ?(2):リストバンドがなかった
なぜ?(3):リストバンドに印字するプリンターが壊れていた
なぜ?(4):プリンターにラベルが詰まっていた
なぜ?(5):プリンターのデザインに問題がある
そんなアホな!
と言う結論が導かれてしまうので,医療の現場ではなぜなぜ分析は向かないと結論しています。
医療の現場には向かないと言う結論も,そんなアホな!だと思うのですが。
上の投薬ミスの問題をプリンターのデザインの不良に持っていくのは,かなりの力技だと思います。なぜなぜ分析は,5回のなぜが終わったら,関係者でレビューを実施して妥当性を検証します。上記問題は,そのレビューで指摘されて終わる話なのではないでしょうか。
この問題から見えてくるなぜなぜ分析の弱点は,問題が発生した時に,恣意的に特定の問題(原因)に持っていくことができてしまうことなのではないでしょうか。
このAlan Card先生は,別の意図(新たな分析手法の提案など)があって,今流行しているなぜなぜ分析に挑戦状を叩きつけたのかもしれません。